パワーナップ~午後の休息時間でパフォーマンスアップ
「昼食をとった後、眠くて仕事が手につかない!」
「昨晩の寝不足で、頭が回らない!」
そんなときに、短時間の仮眠「パワーナップ」をしてみませんか?
この記事では、社員の健康増進のために取り組んでいる企業や、実際のパワーナップのやり方を紹介していきます。
パワーナップとは?
「Power Up(向上させる)」と「Nap(昼寝)」が合わさった造語で、アメリカの社会心理学者 ジェームス・マース氏が1990年代に提唱しました。
日本語では「積極的仮眠」という意味で、自分の意志で眠りにつくことをいいます。
1995年にはアメリカ航空宇宙局NASAによって「NASA Naps」という睡眠研究が行われ、「パワーナップは認知能力や注意力の向上に効果的である」という研究結果を発表しました。
日本でも、2014年に厚生労働省が「健康づくりのための睡眠指針 2014 」の中で、午後早い時間の短時間の昼寝は、作業能率の改善につながると発表しています。
参考資料:厚生労働省 健康づくりのための睡眠指針 2014
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf
シエスタとの違い
昼寝というと、スペインを中心とする南ヨーロッパを中心に発祥した文化「シエスタ」を思い浮かべる方も多いかもしれません。日照時間が長い南ヨーロッパでは、午後2時ごろから2~3時間ほど、ランチや昼寝をして過ごす長い昼休みをとります。シエスタは昼寝をする時間とは限らず、ジムに行ったり休息の時間をとったりします。
しかし、2006年頃には国際基準に合わせた働き方を採用し、徐々にシエスタ制度が廃止されて行っているのだそうです。
パワーナップに期待される効果
日本では、大人が昼寝をすることはあまり一般的ではないかもしれませんが、パワーナップには次のような効果が期待され、最近注目されています。
- 集中力や注意力の向上
- 仕事のパフォーマンスアップ
- ストレスの緩和
- リフレッシュ
- 体や脳の疲労回復
- 心臓疾患や認知症の予防
パワーナップを導入している企業は?
世界的な企業ではGoogle、NIKE、Apple、Microsoftなど、多くの企業が導入しています。
また、睡眠研究を行ったNASAや、集中力や注意力が求められるアメリカ海軍でも導入されています。
日本国内でも、企業だけでなく、パワーナップができるカフェやワーキングスペースが増えています。
◆三菱地所(不動産開発事業)
三菱地所では、社員のパフォーマンスアップのため、2018年から1日30分までのパワーナップが認められる「パワーナップ制度」を導入しています。社内には専用の仮眠ブースが設置されていて、静かな個室のリクライニングチェアで仮眠がとれるようになっています。
参考サイト:三菱地所 https://www.mec.co.jp/
◆GMO(インターネットサービス会社)
GMOでは昼間にあまり使われていない会議室を昼寝スペースとして利用しています。それだけでなく、予約制のマッサージスペースや仮眠スペースもあります。マッサージを受けながら仮眠が取れるとは、一石二鳥ですね。
参考サイト:GMO https://www.gmo.jp/csr/human-capital/office/#gmo-balirelax
◆NESCAFE 睡眠カフェ
東京の原宿に、一般の人も利用できる睡眠カフェがあります。森の木々や川のせせらぎなどの自然音がBGMに流れる店内。睡眠に関する書籍や睡眠グッズも取り揃えられています。半個室ブースになっていて、リクライニングチェアやソファでゆったりと過ごせるのだそう。
ネスカフェといえばコーヒーを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。こちらのカフェでは、コーヒーがセットになっているプランが利用できます。カフェインレスも選べるので、パワーナップ後のスッキリ感を求める方はカフェイン入り、午後遅い時間に利用する方はカフェインレスと、飲み分けることもできます。
睡眠に欠かせないトリプトファンが多く含まれる軽食も提供していて、快適な睡眠のための時間が満喫できるカフェです。
参考サイト:https://suimin-cafe.jp/
パワーナップのやり方
ここまで企業などでの取り組みについてご紹介してきました。
では、具体的にどのようにするといいのか、ご紹介していきます。
姿勢は?
パワーナップは、深い睡眠に入る前に目覚める仮眠方法。
完全に横になって行うと、長時間の深い眠りに入ってしまいやすいため、いくつかのポイントがあります。
以上をふまえて、首や肩に負担がかかりにくくするといいですよ。
パワーナップの時間や注意点
◆時間は15~30分
30分以上のナップは眠りが深くなるので、20分ほどがベストです。
眠る前に、アラームをセットしておきましょう。
◆午後早めの時間に
午後遅い時間にナップを取ると夜の睡眠に影響がおよぶので、午後2時ごろまでに終えるようにするのがよいでしょう。
◆カフェインの利用で目覚めスッキリ
眠る前にカフェインを摂ると、目覚める頃に作用が出てきます。
そうすることで、パワーナップ後スッキリ目覚められます。
ただし、飲み過ぎると夜眠りにくくなるので、1杯までの無理なく飲める適量で。
カフェインは、コーヒーや緑茶・紅茶に含まれているので、お好みのものを選んでリラックスしてくださいね。
◆できるだけ静かな空間で
場所は落ち着けるならどこでもいいですが、できるだけ静かな場所を選びましょう。
耳栓などを利用して周りの音が気にならないようにするのいいですね。
目をつぶるだけでも効果はある?
人間の持つ五感のうち、約8割が視覚といわれています。そのため、目を閉じて視界からの情報を遮るだけでも、脳は休まり、リフレッシュできます。
ただし、睡眠不足の状態のときは、目をつぶってゆっくりするだけでは不十分で、短時間の昼寝が必要な場合もあります。
その時の体調をみて、取り入れるようにしてくださいね。
パワーナップでリフレッシュして午後の効率を上げよう
作業パフォーマンスアップに効果的な「パワーナップ」のやり方や、導入企業の紹介をしてきました。
厚生労働省でも、年齢や季節に合わせて睡眠環境を整えることが大切であると言われています。
普段から睡眠時間の短い人は、体や脳の回復のために、パワーナップを取り入れてみてもいいかもしれませんね。
この記事を書いたひと
NERU.スタッフ 川野
長女の産後に自律神経失調症になり、からだとこころを整えることの大切さを実感。中でも睡眠の重要性を感じ、快眠につながることには興味津々。好きなことはカフェでゆっくりすることと散歩。